今回の依頼は、打ち込み井戸の施工です。
母屋で井戸水を使用されていて、この度若夫婦が隣地に新築するにあたって井戸水で生活したいとのことでした。
以前、お取引がありました工務店の営業さんから今回のご縁をいただきました。
あらゆる事態の対処に備え、トラック一杯の工具を積み込み、いざ出陣です。
この辺りは天竜川水域ではあるものの、非常に堅い地層があるので、いつも通り一般構造用炭素鋼鋼管を使用しました。
JFEスチール株式会社製で、STKは一般構造用炭素鋼鋼管の略で引っ張り強度の最小値を400MPaにとった鋼材で、E-Gは管の製法で電気抵抗溶接、口径×管厚×延長 製造年月となります。
ストレーナーは自社制作で、穴径Φ4.5㎜の延長750㎜としました。
埋設物確認のための試掘を行うと、1mも掘ると拳大の堅い石が積み重なるようにゴロゴロしていました。
心配していた通り、打ち込み開始から2m辺りで堅い層にあたってしまいました。
ここで無理やり打ち込み進めると傾いて打ち込まれたり、機械接続部分のネジが折れたりするので時間をかけて慎重に打撃調整を行いました。
30分くらい打撃を続けていると、徐々に打ち込めるようになってきましたので打ち込みを継続させました。
時に、いくら時間をかけても打ち込むことができないことがあります。
1時間連続して打撃を与えても1cmも入らないこともあります。
そういった場合には、井戸の位置を変更させていただくことになります。
上水道が整備されていないという理由で、どうしても井戸に頼るしかないということで過去に最高で5回場所を変えて何とか打ち込むことに成功した実例もありました。
ただ、作業費や燃料費等の消耗品を負担しなければならないのは依頼側となりますから、これ以上の作業は見込みが薄いだろうと説得して泣く泣く諦めてもらった現場も数件あります。
地面の下の見えない部分をイメージして探る井戸掘りは、思い通りにいかないときが多々ございます。
因みに母屋の井戸は亡くなられた先代が昔ご自身で掘られたと奥様からお話を伺いました。
やはり、その時も鋼管を打ち込むことに苦労して、結局のところ掘れるところまで人力で掘ってしまったと仰っていました。
私の作業風景を見ていた奥様が、今は掘らなくても良いのですか。それは凄く楽ですね。と、興味深く拝見されておりました。
当時、かなりのご苦労をされた様子が伝わってきました。
5.5mを打ち込むも染み出る程度の地下水しかありませんでした。
水位を測ると管底に僅かに溜まっている程度で、到底連続揚水できる水量ではありませんでした。
続けて2本目を打ち込みました。
予定の11mまで打ち込み終わり、地下水を汲み上げてみると砂の量がとても多く、粒子も細かく、汲み上げ続けても減少する傾向にありませんでした。
砂の汲み上げは将来的に継続してポンプや水まわり機器のトラブルの元となりますので極力少ない方が望ましいです。
更に下へ増し打ちするには、追加料金が発生してしまうことから、先ずは見積り金額内で納まるように上に抜いてみることにしました。
抜管と地下水汲み上げを同時に行い、砂の排出加減を確認しながら最良の深度を探りました。
その結果、2.5m抜いた地上面から8.5m打ち込んだ地点の帯水層が、比較的堆積礫が粗く、水質、水量共に使用に差し支えない最深部であると判断させていただきました。
必要以上に抜いてしまうことは水深が浅くなることを意味し、浸透水の雑菌問題や将来の井戸枯れ原因にも繋がり兼ねないので出来るだけ下で止めてあげたいのが施工者の想いです。
この辺り一帯も昔から井戸の恩恵を受けているご家庭が多く、今回施工の井戸も飲用できる地下水品質ではなかろうかと思われます。
ただし、透明で澄んでいて綺麗そうに見えても、ヒ素やダイオキシン、大腸菌などと言った目には見えない毒性のものが溶け込んでいる場合もございますので、専門機関へ定期的な水質検査を依頼していただくことを強くお勧めいたします。
依頼要請があれば水質検査代行も承っておりますのでご用命下さい。
口径:50A 完成深度:G.L.-8.5m 静水位:G.L.-4.87m
水量:中(推定190ℓ/min) 鉄分:反応無し 砂量:僅か(粗砂)
砂色:灰色 水色:山吹色 水温:16.0℃ 外気温:21.0℃ 天候:晴れ
六曜:大安
打ち込み井戸工事はこれにて完了です。
新築住宅完成後にポンプ設置にお邪魔させていただきます。
(株)I 担当F様
N様
この度はご依頼ありがとうございました。
引き続き宜しくお願いします。