今回の依頼は台所排水の詰まり修理です。
ローポンプを使用しても通貫ワイヤーをしても全く流れない状況でした。
お家の方もスポイトで試されたようですが、その際に気付かないうちに防臭ゴムが外れてしまって床上だけにとどまらず配管貫通部の隙間から床下へと排水が漏れてしまったようです。
知識や経験が伴わないと何をしたら正しくて何が駄目なのかの判断は難しく、被害を拡大させてしまう恐れがあります。
階層がある建物では階下水濡れ被害で訴訟トラブルにまで発展させてしまうと非常に厄介です。
床板と配管貫通部の隙間は確実にシールをした方が良い理由も、このような二次被害に発展させないためです。
額に汗して幾度もスポイトを煽って辛うじて詰まりが抜けて支障なく排水されるようになりましたので、差し当たり普段通りに使用してもらい、床下が乾く頃合いを見計らって再訪問させていただく約束をしました。
築後から10年余りとの事ですから、何処のお宅でも発生し得る可能性がございます。
標準勾配は付いていましたが、台所排水は油脂が付着しやすいので少し強めに付けておいた方が無難です。
こう言った判断は、修理を重ねた先に身に付くものです。
経年に伴う変化の予測も考慮して施工しておく必要があると考えます。
因みに、その場凌ぎの高圧洗浄や薬剤投入、ワイヤー通貫を行なっても根本的な問題を解消させないと必ずまた同じ事が起きます。
原因が何であるかを究明して、それに対しての処置を施すことが重要です。
予想した通り、スムーズに排水されていたと言えど配管内にはまだ油脂が一杯こびり付いていました。
この油脂の塊りに日常の洗い物から出た油脂が付着して数年後にまた再発するというサイクルになります。
食器の洗い物に、水だけの使用だったり少量のお湯しか使わなかったりするご家庭は、配管内に付着した油脂が洗い流せれないので管壁に蓄積する傾向にあると個人的には思います。
後片付けで食器やフライパンについた油を洗剤を使わずに水とお湯で洗い流す比較をすると、その違いが良くわかると思います。
パイプの中もそれと同じ事が起こっています。
食器洗浄機の使用も節水の面ではとても優秀ですが、反対に配管内を自浄させる役割は出来ていない気がいたします。
定期的に市販のパイプ洗浄剤を使用したり、洗い物の最後に桶一杯に溜めたお湯を一気に流したりする習慣を付けることが、詰まりの予防をする上で効果的ではないかと考えます。
今回は、一部配管を新しく引き直して勾配も強めに付けておきました。
配管支持も間隔が遠く垂れ気味になっていたので、これも修正しておきました。
今後出番が無いことを願ってますが、点検と掃除が容易に出来るように床下に掃除口も新たに設けておきました。
床板貫通穴もしっかりとシールしておきましたので、次は知らずに床下へ漏れさせることもなくなるはずです。
こうしておけば知らずの大惨事になる前に、先ず最初に足元が濡れてきますので、早めに水漏れトラブルに気付けるはずです。
スポイトで煽った時に蛇腹ホースが抜けて外れないように粘着テープで固定しておきました。
簡単に外せなくしてしまうこともメンテナンスに支障が出るので違うかなと思います。
「修理は必ず起きる」という前提の下に施工しておく事ができる職人で有り続けたいと考えています。
一つ一つの作業には必ず意味があり、するしないで後々の結果が違ってまいります。
お客様が日常を安心して生活できるお手伝いができれば幸いです。
S様
この度はご依頼くださり、誠に有難うございました。