今回の依頼は打ち込み井戸工事です。
ビニルハウスで育苗を行うための井戸設備を賜りました。
以前に井戸調査をしたお客様です。
既存の打ち込み井戸の水量が少ないので打ち直しをさせていただくことになったのですが、この辺り一帯は地下水に鉄分が多く含まれる地域となります。
既存の打ち込み井戸の地下水も鉄分濃度が2ppmと飲用には適さない数値でした。(飲用基準は0.3ppmを超えない値)
飲用目的で井戸を掘るとなると、過去の深井戸データから最低でも60m以上鑿掘する必要があります。
農業用の潅水ということで多少の鉄分は大目に見ていただけるようでしたので、浅井戸の打ち込み井戸でお引き受けさせていただきました。
これまでの近隣で打ち込み井戸を施工した時のデータによると、6m付近までの深さと11m以降の深さに鉄分が多く含まれる傾向にあります。
7m~9mの間に水量が多く、比較的鉄分が少ない帯水層があるのですが、砂が細かく通常の打ち込み井戸施工では砂の排出が多すぎて電動ポンプの汲み上げでは使い物にならないと判断しました。
砂の排出が多い井戸は下記の前例の様に継続してポンプトラブルを招きます。
既存の打ち込み井戸の深さが5mで水量がとても少なく鉄分が2ppmありましたので、それよりも深い帯水層を目指すことにしました。
今回も砂対策として網巻ケーシングを採用しました。
5.5m地点の深度は、礫の粒が荒く如何にも水量がありそうな地層なのですが、実際にはとても少なかったです。
12ⅿまで打ち込み、地下水を汲み上げてみると水量は一番多くありましたが砂の量も多く沼臭い匂いもします。
鉄分濃度を検査してみると5ppmと案の定鉄分が濃くなってしまいました。
井戸管が細いのでストレーナーは長めにして水量を確保したいところですが、鉄分は少ないほうが良いので4m分加工したストレーナーを急遽現場の判断で1m分目潰しとしました。
地表面から7m~10mの間をストレーナー位置としました。
網巻きサクションを挿入した後にさや管を抜き上げました。
エンジンポンプで汲み上げをしてみると水量もそれなりにあり、砂も排出されず鉄分濃度も無いわけではありませんが0.2ppmと少ない値でしたので上出来の仕上がりです。
費用云々は置いといて、水量を確保したければストレーナーを長く取れば良いですし、砂を止めたければ網の目を細かくすれば技術的には可能です。
ただ、地下の帯水層の水質だけは変えることができないので受け入れていただくしかありません。
今回はチューブ潅水とのことですので砂が出ないことが優先順位となります。
試験運転後の140メッシュのディスクフィルターにも砂は検出されませんでしたので、トラブルの無い井戸設備に仕上がったのではないかと思います。
口径:HI-VP30 さや管総打ち込み深度:12.0ⅿ 完成深度:GL-10.1m 静水位:GL-2.10m
ストレーナー位置:GL-7.1m~10.1m(SUS304網巻♯80)
井戸水量:中(推定170L/min) 電動ポンプ吐出量:推定90L/min
鉄分:0.2ppm 砂量:無し 砂色:暗灰色(褐色礫交じり) 水色:黄土色
水温:18.0℃ 外気温:13.0℃ 天候:晴れ 六曜:大安 海抜:10m
B(株) 代表様
この度はご紹介下さり、誠に有難う御座いました。
M様
この度はご依頼頂き、誠に有難う御座いました。