今回の依頼は井戸ポンプのメンテナンスです。
4年程前に取り換えしたばかりのポンプが水を汲み上げなくなってしまったと連絡をもらいました。
点検するとポンプ横にある古い配電函の鉛ヒューズが飛んでいたので、こちらに出入りの電気工事業者にお願いしてもらってモータブレーカに交換してもらいました。
その後、3週間ほどは問題なく使用できていたようですが、今度は少し離れた場所にある配電函の鉛ヒューズが飛んでいました。
こちらも同じように古かったことから、新品の漏電ブレーカに交換してもらって様子をみてもらうことにしました。
それから、一週間を過ぎたころに再度お客様から、またポンプの水が出ないと連絡をもらってしまいました。
その時はモータブレーカも漏電ブレーカも落ちてはなく、ポンプ制御箱の中のサーマルがトリップしていました。
この時点でポンプ側の不具合だと予想されましたので、メーカーサービスの手配を行いました。
電圧、電流、欠相、過負荷、異音、圧力、陽水量、静水位、漏水など諸々を点検してもらい、マグネットスイッチの接点不良が疑わしいのでは?という診断に至りました。
日を改めて、メーカーサービスにてマグネットスイッチの交換をしてもらいました。
同品番は廃盤になっているようで後継品番での交換でした。
当日私は別の約束で立ち会えず、メーカーから試運転も良好で修理完了との報告をいただきました。
その後2週間程を経過した頃でしょうか、早朝にポンプが回りっ放しになっているとお客様から連絡をもらいました。
話を伺うと、修理後も何か変だなと思いつつも、いずれ良くなるのかもしれないと暫し様子をみていたそうです。
朝一番は蛇口から直ぐに水は出ずに5分程度経過してから真っ赤になった水が出だすとのことでした。
おそらく締め切り状態でモータが停止せずにポンプケーシング内でキャビテーションが発生してしまい、水を汲み上げれなくなったと考えられます。
それでも井戸の静水位が手が届くところにあるため、蛇口を開けてから5分程度の時間で蛇口からエアーが抜けてポンプが地下水を汲み上げれてしまったと予想します。
ポンプが停止しない原因を探るべく、アキュムレータのゴム膜破れや圧力不足が無いか、流量センサーの作動状況、並びに圧力スイッチの接点不良などの確認を行いました。
当店では原因特定ができずにメーカーの助言をいただくと、制御基盤に圧力スイッチ、流量センサー辺りが次に怪しいと言うことになり、部品を届けてもらい交換することにしました。
モータにも異音や負荷は無く電流も安定していて、圧力は上がり水量も十分にあったのでインペラに問題はないと判断し、アキュムレータと流量センサーはポンプが止まらなくなる直接の原因にはならないことから取り合えず点検だけして今回の交換は見送ることにしました。
基盤と圧力スイッチを交換してみたのですが症状は改善されず、相変わらずポンプが停止しません。
これまでの一連の作業内容をメーカーに事細かく伝えて工場とも連携をとってもらうと、対策として制御盤をアッセンブリで交換して様子を見ましょうということになりました。
メーカーサービスマンにて制御盤ごと交換してもらうと、やっとポンプが停止してくれました。
ただ、やはり流量センサーも導通に鈍さがありましたので後日交換して、これにて完全な正常運転となってくれました。
マグネットスイッチとサーマル、基盤を交換済みなことから、残すはタイマーが悪さをしていたと考えられますが、メーカーサービスマンも今までに前例が無くレアケースとのことで現時点では特定ができないとのことでした。
三相200Vの給電なのに、60秒タイマーが切れた直後に300Vを検知する端子があり、この辺りが悪さをしている原因では無いかと考えます。
工場で検査をしてもらい原因を特定していただき、情報提供してもらいたい思いです。
今回は3ヶ月に渡り、お客様には多大なるご迷惑をお掛けしてしまい大変申し訳なかったです…。
自動制御不具合の沼に陥った修理事例でした。
I (有) 代表様
この度はご迷惑をお掛けして誠に申し訳ございませんでした。
誠心誠意努めてまいりますので、今後とも宜しくお願いいたします。