畑の水撒き用の井戸を掘ってもらいたい

今回の依頼は打ち込み井戸工事です。

畑の潅水目的でご依頼くださいました。

今年の夏もとても暑く、作物も水無しでは直ぐに枯れてしまいます。

水道代が思いのほか高額になることから決断くださいました。

水質が良ければ防災用や雑用水にも使用したいとのご意向でした。

実績が無い地域でしたので先ずは近辺調査を行いました。

打ち込み井戸程度で簡単に井戸が掘れるような地域であれば、近隣のご家庭にも井戸が点在するはずなので辺りの家を見回してみましたが、井戸ポンプらいしものは見当たりませんでした。

こちらのお宅も100mほど離れた位置に河川があるので可能性が全く無いわけでは無いでしょうが、周りには田んぼが存在している場所でしたので浅い深さには粘土層が堆積しているのではないかと予想しました。

とある情報筋から近隣の地質調査データを入手することができましたので地下水があるのか解析しました。

3地点を見比べると、300m圏内でも地層の厚さにかなりのばらつきがあります。

条件の良い地点で15m、悪い地点だと23m以上打たないと砂礫層に到達しないようです。

粘土層が上層にありますし、地層の色調も暗灰色のようですので水質は良くない可能性が高いことを事前にお伝えさせていただいております。

ただ稀に極浅い表層を流れる帯水層で水質が良いこともあります。

深くなると打ち込み井戸ではそこまで到達できるかも不明です。

摩擦抵抗が増して打ち進めなくなった時点で限界深度となり終了となります。

打てなくなっても地下水が出なくても作業費は発生する事を予めご了承いただき、作業開始させていただきました。

初日は16m打ち込みましたが全て粘土層でした。

先端のストレーナーから管の中に入り込んできた粘土を排出させるのがこれまた容易ではありません…。

水を入れてエアーで吹かしながら突っついて少しづつ溶かして排出させるのですが、ペタペタと張り付いて中々取れないですし、毎回暴発して顔面直撃や頭から泥水を被るのが井戸屋のお約束です…。

朝イチから全身泥水を浴びるとそれなりに萎えます…。

2日目は5m打ち込み、総打ち込み深度21mです。

相変わらず粘土層が続きます。

一滴の水も出ず、管の中に注いだ水が一昼夜おいても全く吸い込んでいく気配はありません。

礫層に届いているなら少なからず地下に浸透していきます。

見積り提示は16.5mでしたが追加をご用命いただき続行いたしました。

3日目は2m打ち込み、23m到達です。

この深さになってくると23m分の管の摩擦抵抗も増されますので1m打ち込むのに2時間近くかかっています。

この辺りから徐々に水気を帯びてきましたが、相変わらず粘土層です。

4日目も2mです。

24m深度で漸く礫層に到達したようです。

25mより下は硬く締まり、最大打撃で1時間に10cm程しか打ち込めなくなり水量も減ってきてしまいましたので打ち止めとさせていただきました。

打ち過ぎた30㎝分を抜き上げるのにも2tを引き上げれるユニックで引っ張りながら後退打撃するも1時間以上かかり、打ち込み井戸の限界深度到達です。

かなり無理をさせましたので打ち込み機械が焼き付かないか冷や冷やしました…。

エンジン全開の長時間運転に外気温が高過ぎたことも重なり、エアコンプレッサーがオーバーヒートを起こしてエンジン停止した局面もあり正直気が気ではなかったです…。

汲み上げ当初は少なかった水量でしたが、念入りに洗浄を行うと徐々に増えてくれました。

水量はありましたが事前の予測通り排出されてきた砂が暗青灰色をしていますので鉄分を多く含みます。

畑の散水用途に限定されるとは思いますが、作業中諦めムードでしたので水が出ただけでも良しとします。

通常は1日で終わらせる打ち込み作業ですが4日奮闘したのは何十年か振りです。

この近辺で再度打ち込み井戸の依頼がありましたら、次回はご遠慮させていただくかもです…。

口径:50A 完成深度:GL-25.0m(総打ち込み深度25.3m)
静水位:GL-4.05m 水量:中(180ℓ/min)
鉄分:5〜10ppm 砂量:中(礫混じり粗砂) 砂色:暗青灰色 水色:灰色
水温:16.0℃ 外気温:30.0℃ 天候:晴れ/曇り/雨
六曜:大安着手 海抜:16.9m

2~3Kmほど離れた場所で過去に深井戸を掘った時のデータがありましたので見返してみました。

少し距離が離れているので浅い部分の地層は参考程度であまり当てにはなりませんが、深層になってくると大凡同じような結果となってきます。

当時80m掘って良いところがなくて、結果的に20~30mの浅い帯水層で仕上げています。

これを見る限り深井戸工法で深く掘り直しをしたところで水質改善は望めなさそうです。

最低でも100ⅿ以上、あるいは150ⅿ掘っても青砂利が継続しているのであれば鉄分が無くなる見込みは薄そうです。

砂が多い帯水層のようで仕上げ揚水で砂の排出が止まらず、追加で丸1日水替えを行いましたが、完全には取り切ることができませんでした。

揚水は手押しポンプと電動ポンプの二刀流のため、手押しポンプで煽った後に電動ポンプで汲み上げると砂濾器に砂が溜まってしまいます。

最初のうちは手押しポンプを多用していただき、砂を出来るだけ排出させて地層を洗ってあげる事で落ち着いた井戸に仕上がっていくことを期待しています。

数年は見守りを必要とする井戸となりそうです。

 

 

 

 

F様
この度はご依頼いただき誠にありがとうございました。

 

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