今回の依頼は打ち込み井戸工事です。
昨年に井戸のメンテナンスをさせていただいたお客様宅で、井戸水が枯渇してしまったようです。
敷地内で最も川に寄った場所へ打ち込み井戸の施工をお願いされました。
既存の井戸から川までは100mほどあり、今回打ち込む位置はその中間辺りになります。
今回も朝から神社でお力添えのお願いをしてきました。

スコップで先穴を掘るとコンクリートガラが捨てられていて、1.5mの深さにまでガラが埋められているのか打ち初めに管が傾きたがります。
一旦抜き上げ、すぐ真横へ三度打ち直しましたが数十cm位置を変えただけでは、やはり微妙に傾いてしまいます。
官民境界とポンプ据え付けの位置関係がありましたので、多少の傾きはやむを得ずと打ち込みを継続させることにしました。
すると、一本目の打ち込み終わり手前の5.0mの深さで岩に当たったのか完全に打ち込めなくなってしまいました。
場所を大きく変えることもできなかったことから、何が何でもこのまま打ち込みたいと、半ば強引ではありましたが1時間近く全開で打ち続けていたところ、いきなりスルッと入るようになってくれました。
5.5mで水出し確認を行いましたが、現在使用中の出なくなった井戸の深さが7.5mありますので、5.5mの深さではやはり地下水は出ることも無く二本目を継ぎ足して11mを目指しました。
8.5mで地山に到達してしまい堅くなりましたが、念の為ここから更に1時間半ほど粘って9.8mまで打ち込みましたが見込みが薄そうだと判断し中断して地下水があるのか調べてみました。
予想通り滲み出てくるどころか全く水はありません。
そこから8mまで抜き上げながら探ってみましたが時間が経てば溜まってくる程度の滲み出てくる水量しかありませんでした。
これ以上抜いてしまうことは枯れてしまった井戸よりも浅くなってしまうことになります。
既存の井戸は山側に寄っていますので、もしかしたら川の伏流水ではなく、山の垂水を汲んでいたのかもしれません。
作業結果をお客様に報告させていただき、打ち込んだ鉄管を全て抜き上げることにしました。
ところが5m地点の岩で鉄管が曲がってしまったようで抜き上げるのも一苦労でした…。
遅くまでかかり辺りは暗くなってしまいましたが、何とか抜き上げまで完了してきました。

抜き上げた鉄管を見るとかなり湾曲しています。
岩に当たっても強引に打ち続けたので、岩を避けるようにして先端が曲がっていったのでしょう。
曲がった後に続いて鉄管が沿っていったので、このような湾曲になったのだと思われます。
先作りは岩を齧くった痕跡はありましたが潰れずにしっかりしていました。

再利用出来ると思って抜き上げましたが、これでは廃棄するしかありません。
昨今の物価高で鉄管も値上がりしていて、先端ストレーナー加工費まで含めた11m分の鉄管材料費は7万円程の価値になります。
今回はこれがゴミになってしまいました…。
これに人件費や燃料費等の消耗品、トラックや機械工具の維持管理償却費、事業を行っていく上での事務関連等の諸経費が合わさり、最後に預かり消費税が合算されたものが工事費となります。
鉄管だけでも回収できたなら、その分が値引きできてお客様負担が減らせたのですが残念です…。
地下水が簡単に出ない井戸工事ほど水を出してあげたいと想う気持ちが強くなり必死になります。
その分普段よりも作業量が増しますので正直なことを言えば出なかった井戸ほど割増しで費用を頂きたいところです。
お客さんに至っては出なかった井戸に対して費用を支払わなければなりませんので両者痛み分けです。
今回は生活に支障をきたしていることから、吉日ではない最短日の着手でした。
元々が藁をもすがっていた案件なので、やはり困っている人を待たせてでも験を担いで大安にするべきだっただろうかと考えさせられます…。
もし吉日に行ったのだったら見事に水が出たのか、それとも無いものは無いのか…
神仏の信仰心が無い人には当然ご加護も無いわけで、1%でも成功率が上がるのでしたら私はこれからも神様にすがっていきたいと思います。
T設備 代表様
Y様
この度はご希望に添えず申し訳ございませんでした。



