井戸水が出なくなったのでみてほしい

今回の依頼は、井戸ポンプから水が出なくなったのでみてほしいとのことでした。

井戸水が出なくなってしまったので、お客様が水道業者に連絡したところ、古くなったポンプが悪いだろうと新しいポンプに交換したそうですが水は出るようにはならなかったようです。

お客様が別の知り合いの水道業者に相談されて当店に白羽の矢が立ちました。

上水道は引き込まれておらず、あと5年もすればお迎えが来るなり施設に入所するなりの決断に迫られると思うので、それまでの暫定的な処置で構わないとのことでした。

道路本管から水道を引き込むにしても、水が出るまで諸般の手続きを踏まないといけませんから、最短でも3〜4週間程の日数がかかります。

それまで水無しの生活を強いられるのは大変気の毒です。

それに井戸ポンプの水圧よりも上水道の水圧の方が高くなるのが一般的で、年数が経過している既設の配管に繋ぐことで圧力に耐えきれず漏水を作る結果にも繋がりかねません。

それから、これが一番の課題ですが幼い頃から井戸水を飲用されてきた方は上水道に含まれるカルキ臭(遊離残留塩素)がどうしても馴染めないとよく聞きます。

これも慣れてしまえばなんてことないのですが、井戸水に永く親しまれてきた年配の方ほど無視できない問題のようです。

あと道路から上水道を引き込むとなると、軽く見積もっても50万円以上の工事費が予想され、これまでいくら使ってもタダだった水が毎月の水道使用料として発生するようになります。

さらには交換したばかりの井戸ポンプも無駄になってしまうことからも打ち込み井戸の打ち直しで話がまとまりました。

しいて井戸水のメリットを言うならば、上水道ですと大規模震災が起こると何ヶ月も水が出ません。

人口の多い地域の復旧を優先するので住んでいる場所によっては何ヶ年も上水道が復旧しないことが予想されます。

自家水道なら発電機だけ用意できれば水が使えるようになります。

酷暑だったり寒空の下だったり、ひょっとして雨や雪が降っているかもしれません。

そんな中、給水車の長蛇の列に並んで重たいポリタンクを下げて瓦礫の散乱する道を辛い思いをしながら家族が待っている家路を何度も往復しなくて済むかもしれません。

実際のところはその時になってみないと自身が無事なのかも、どのような惨状になっているのかもわかりませんが、準備を整えておけるのは平時の時だってことですね。

さて、前置きが長くなりましたが現在の井戸はこの草むらの何処かにあって、50年以上経過していて深さは浅いだろうとのお話でした。

年数を考えると打ち込み管が錆びて穴が開いてしまった可能性があります。

若しくは近年多い降雨不足の井戸枯れの影響です。

降る時には災害級の雨量がありますが、降らなくなると全く降らない…。

 

 

打ち始めると1mの深さから堅くなりました。

管が傾かないように慎重に打撃調整をしていたのですが、地中にあった石でこじられてしまい若干傾いてしまいました。

鉄管を真っ直に打てないと後々の施工に大きく影響してきます。

堅くて打ち込めないところへ傾きも合わさると、打撃力が管軸に対して垂直ではなくなり斜め方向に変化してしまいます。

力のベクトル方向が変わって接続部分のネジが破断しやすくなります。

3mほど打ち込んだ辺りでネジ部で折れてしまいました。

打ち込み管から外れて暴れた機械が樋の集水器に当たり破壊してしまいました…。

 

 

昨年までは折れたネジは切断して新しいネジを溶接して、折れ残ったネジは現場でチスやタガネで叩いて粘り強く捲り取っていましたが、ただでさえ重労働の打ち込み井戸作業が歳を重ねてきたことで段々と辛くなってきたこともあり、仕事の効率化を図るために工具を揃えました。

折れたネジは電動ネジ切り機で仕立て直し、破断したネジは専用工具で抜き取りました。

 

 

力任せに締めてあったネジが思いのほか簡単に取れたのには感動を覚えました。

さすが良い道具は身を助けてくれます。

どんなにベテランの職人さんだとしてもドライバーがなければビス一本回すことができません。

早く、綺麗に、安全に作業をさせてもらう上で良い工具というものは欠かかせません。

お客様からお仕事を任され、少しずつ儲けさせていただいたお金で良い工具を購入させていただき、更に上質なサービスを提供できるような好循環を維持していけるように頑張っていきたいと思っていますので、今後とも応援よろしくお願いいたします。

 

その後、さらに2度ネジが折れて同じことを繰り返して、何とか5.5mを打ち込むことができました。

1本(5.5m)を打ち込むのに通常なら30分もかからないところを5時間もかかってしまいました…。

道具揃えてなかったら、もっと手こずって日を跨いでいたでしょうから心身の負担がかなり軽減されたと実感しています。

 

 

5.5m深度では水気は無く、何故か出てくる筈の無い大粒の砂利が排出されたので長時間の打撃に耐えられずに先端が破壊されたのでしょう。

満身創痍の中、ふと昔のことが思い出されました。

そういえば30年位前にも打ち込みできなくて5箇所場所を変えて漸く打ち込めた現場がこの近くだったなと…。

地下水位が低下した後の地層は生コンクリートが乾いた様にパンパンに締まってしまう傾向です。

この場所も1m〜3mまでがガッチガチでした。

もしまたこの近くで依頼があるようなら対策を考えておく必要がありそうです。

3mを過ぎた深さから徐々に打ち込みできるようになり、結果的に砂の排出が少なかった9.3mを完成深度とさせていただきました。

先端が潰れている割には揚水時の砂の排出は殆ど無く、どうなっているのかとても気になるところではあります。

 

 

帯水層の砂利も粗く、水量も家庭用なら十分です。

簡易検査では鉄分反応も無く、他に突出した異常も無さそうです。

 

 

ただし、これだけを鵜呑みにして安全だと思わずに、大腸菌群やダイオキシン、ヒ素、セレン、六価クロム等、様々な検査項目がありますので必要に応じて定期的な水質検査を受けていただくことをお勧めいたします。

 

口径:50A 完成深度:GL-9.3m
静水位:GL-5.15m 水量:中(160ℓ/min)
鉄分:反応無し 砂量:僅か 砂色:褐色混暗灰色粗砂 水色:狐色
水温:17.9℃ 外気温:15.0℃ 天候:晴れ
六曜:先勝(大安手付) 海抜:28.1m

 

その後、水道業者がポンプを設置して問題なく水が使えるようになったとの報告をいただきました。

併せて雨樋も直していただいたようで感謝です。

 

T設備 代表様
I様
この度はご依頼いただきまして誠にありがとうございました。

 

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