今回の依頼は打ち込み井戸工事です。
前回水が出なかった打ち込み井戸の場所から、さらに川に寄った位置へ工事の再依頼です。
もし、ここで地下水が出るようなら地権者から土地を買い上げる約束を交わしたようです。
ここで出なければ引っ越しも視野に考えていかなければなりません。
元静岡県知事の川勝さんがリニア中央新幹線の静岡工区で地下水問題からトンネル工事にイエスと言わなかった背景には、地域にお住まいの方々の生活を守るためであったと言えます。
生活用水が絶たれることは、そこに住んでいる当事者からしてみたら死活問題です。
若い世代は生活が安定しない不便な山里を離れ街へ移り住み、山を管理してくれていた跡継ぎは減り、結果として熊の個体数は増えるなんて弊害も…。
メガソーラー事業もそうですが、美しかった自然を破壊して鳥獣らの住処を奪ったり森林伐採したりすれば、温暖化や食物連鎖の均衡を崩す結果となり必ずその代償は返ってきます。
あちらを立てればこちらが立たずの事象はよくある事で、誰かが利便を感じる一方で、誰かが不便を感じてしまう幸せと不幸せを天秤にかけて推し進めた先に待っている未来は幸か不幸か。
さて、余計な話をしました…。

川まで20m位の位置です。
この川も上流でダムを作られてから水嵩が1m以上低下して川底が露わになったとお話されていました。
ダムを作ることで街中で生活する人々は安定した水源を確保できる反面、ダムの下流で川の伏流水を利用していた山間部で生活する方々は地下水が枯れて困ることになっています。
5.5mの深さでは水気が全くありませんでした。
9.1mで地山到達となり打ち込み不能です。
7mまで抜いたり打ったして水量の多い地層を探してみましたが豊富な帯水層は見つけれませんでした。
砂が細かく、シルト混じりなので濁りも長いです。

2日目には水替えに専念し、もっと水量が増えてくれることを願って色々と手を施してみましたが、汲み始めより倍近くまでは増やせた程度で、どうやらこの量が精一杯のようです。
水量が非常に乏しいので、この井戸も何年後かには枯れてしまうかもしれません。
これより下の帯水層を目指すとなると100mで到達するものなのか、300m掘っても出ないのか、数百万円で済むのか、それとも数千万円単位になってくるのか、其れこそ大博打となってしまいかねませんので住み慣れた地でも引っ越してしまった方が堅実です。
川勝さんがJR側の説明に納得しなかったことに賛同できる人とできない人の境界線は、身内に実害を受ける人がいるか、そうではない他人事と思っている人です。
実害をうける立場からしたら人生がかかっていますから簡単な問題ではないですよね…。
前回は全く水が無かったので出るようになっただけでも場所を変えてチャレンジした意味はあったような気がします。
元々受水槽に貯めて使われているので毎分28Lでも使い過ぎない限り不自由はないはずです。
今回は前回の反省を踏まえ、大安に施工しました。

口径:50A 総打ち込み深度:GL-9.1m 完成深度:GL-8.8m
静水位:GL-6.25m 水量:少(28ℓ/min)
鉄分:反応無し 砂量:僅か 砂色:焦茶シルト混じり中砂 水色:山吹色
水温:18.0℃ 外気温:18.0℃ 天候:晴れ
六曜:大安 海抜:60m
この先は元請けの水道屋さんがポンプ設置と配管延長をされることになっています。
枯れずに永く使用できることを心より願っております。
T設備 代表様
Y様
この度はご依頼いただき、誠にありがとうございました。




