今回の依頼は打ち込み井戸工事です。
既存井戸に手押しポンプを増設したところ、手押しポンプで水を汲み上げると井戸水が濁ってしまい電動ポンプ側の汲み上げにまで支障が出てしまい上手くないようです。
20年位前にロータリー式鑿井機で井戸施工してもらったようですが、こちらも井戸の位置は何処なのか解らなくしてしまったようです。
イベント時に手押しポンプで遊び体験をしてもらいたいと専用での打ち込み井戸工事をご用命くださいました。

この地域一帯も山間部で上水道が整備されていませんので、各戸が井戸で生活用水を賄っております。
自治体が上水道を布設しようとすると工事に数十億円、下手したら数百億円もかかってしまい、それでいて人口が少ないので収益性が悪く採算が見合いません。
各自治体が行っている上下水道事業の経営は、原則使用者らが支払う水道料金収入で運営されている独立採算制となっております。
したがいまして採算が悪い設備を増やしてしまうということは、しいては皆様の使用料が値上げされてしまうということになりかねません。
そのような関連性もあって、人口が密集していない過疎地域では上下水道の整備が進んでいかない理由です。
それでも住人側からしたら安定した生活を求めていますから、県が救いの手を差し伸べたのだと思います。
下部写真中央の小高く盛土した場所に2008年に県の要請で鑿井工事をさせていただいた経緯がございます。
簡易水道施設を新設されています。

鑿井掘りでも10m手前で軟岩に到達して、それ以上は掘り進めれませんでした。
濁りを心配されて敢えて山側に寄せたと思うのですが、逆にそれがマイナス要因となってしまい、井戸径150Aのスクリーンで4m取ってありますが水量は毎分60Lと少なく、水位もGL-5.6mと低めでした。
ただ、その後のお話を聞くと浅い事もあってか大雨の日はこちらも濁りがくるようです。
川から100ⅿ離れていても降雨時の影響を受けてしまっています。
今回依頼のお隣りに、平成3年と平成8年の住宅新築時に打ち込み井戸を施工させてもらっていますが、やはりこちらも2軒とも大雨の日には濁りがきてしまうようです。
山についた川の近くは洪積層が浅く井戸の深さが深く取れないので、どうしても川が濁るときには地下の帯水層も濁ってしまいがちです。
特にこの辺り一帯は濁りの元となる土砂が他よりも多く堆積している気がいたします。
濁りを防ぐには濾過装置の設置など人工的処理に頼る他ないかもしれません。
少し離れた別の場所になりますが井戸の位置や深さを変えることで多少なりとも緩和された事例もございます。
そんな過去の経験を踏まえて心配を抱きつつやっていきました。
打ち始めの2mまでに頭大の岩がゴロゴロ積み重なっていて、どうしてもパイプが傾きたがるので焦らず時間を掛けて修正しながら打撃調整を行いました。
打ち始めの2mがとても肝心で、最初に傾いて打たれてしまうともう直すことは不可能です。
仮に傾いてしまったからと一旦抜き上げたとしても、また同じ穴に沿って入ってしまうので別の場所へ移動する必要ができてきます。
何とか垂直を保ちつつ5.5ⅿを打ち終わって水出し確認を行うと、水量は少なく濁りはとても濃い層でした。
山吹色の絵具を溶かしたようなドロドロした地下水が出てきます。
大雨の日にこのヘドロ状の地層が洗われて出てきてしまうのでしょう。
その後も打ち込みを継続させ、今回も隣と同じく11mで盤に到達して打ち込み不能となりました。
11mの深さでは全く水気は無く、抜き上げながら良い深さを探り2.8m抜き上げた8.2mを完成深度とさせていただきました。
徐々に抜き上げてきて濁りが一番薄く、水量を減らさない深さに合わせたのですが、水替えで澄んだ水にまで仕上げることはできませんでした。
手押しポンプですとハンドルをあおって断続的に汲むので既存井戸と同じく澄んだ水が出ることはないかもしれませんが、この件に関しては事前に説明済みで了承されています。
鉄分濃度は既存井戸と同程度でした。

今回も当店の役目はここまでで、このあとの手押しポンプ移設は依頼者の水道業者さんに引継ぎとなります。
口径:50A 総打込み深度:GL-11.0m 完成深度:GL-8.2m
静水位:GL-3.8m 水量:少(推定120ℓ/min)
鉄分:0.1ppm以下 砂量:無し(礫) 砂色:焦げ茶 水色:山吹色
水温:12.5℃ 外気温:25.5℃ 天候:曇り
六曜:大安 海抜:72m
M 代表様
A 代表様
この度はご依頼頂きまして、誠に有り難う御座いました。