今回の依頼は水道管の水漏れ修理です。
常にはInstagramで漏水箇所不明の修理投稿を行っていますが、それとは別に依頼主様への報告も兼ねて記事にさせていただきました。
何処で漏れているか分からないとのことで、先ずは調査に伺いました。
ひと通りお家の水まわりをチェックしましたが、漏水音が聞こえてくるところはありませんでした。
旗竿地で配管距離も長く、舗装もされており、何処に配管が埋設されているのかも分からない状況です。
施工した業者さんなら記憶の断片にあるかもしれないので、そちらにお願いした方が良い旨をお伝えさせていただきました。
依頼者様曰く、当時配管を担ってくれた業者さんは既に廃業されているか、もしくは他界されているのではないかとのことです。
一度水道課に出向き、当時の給水申請図面があるか調べてくるとのことでしたが、データは全く残っていなかったようです。
手始めに水道管が何処に埋設されているのか探すところから始めました。
運良く外水栓柱への埋設配管を見つけることができましたので、そこから探っていきました。
布基礎伝いに犬走りコンクリートの中に配管されてしまう業者さんもいるので、コンクリートを割らずに土間部分で見つかってくれたのは幸運です。
配管を辿っていくと水道メーターからのメイン配管を見つける事が出来たので、此処に仕切弁を追加しました。
専門的な話しになりますが、配管業界においては水の流れに対して突き当たるトンボ配管Tはあまり好ましくないとされていますので修正させてもらいました。
既存配管の角度も宜しく無く、直角が合わないので継手を一つ多く使って角度を合わせ、継手にかかる応力を軽減させました。
バルブを締め切ってメーター器を確認してみると、変わらずパイロットが回っている状態です。
これによって悪い方での水漏れである事が確定しました…。
バルブを設ける前に配管内に針金を挿入して曲がりの継手がある位置を特定させています。
地中の水漏れは大半が継手でひび割れていて、パイプが破損している事は極稀です。
バルブで音調したときに近くで漏れているような気配は感じられなかったので期待はしてませんでしたが、残念ながら直近の曲がりの継手でも漏れていませんでした。
同じく曲がりの継手を切断してワイヤーを入れてみると28m入りました。
すなわちそれは途中に曲がりの継手は無いという事になります。
そうなるとパイプ同士を接続しているソケットでの抜けか、破損が疑われます。
直線距離が長いと夏場と冬場の水温の差でビニル管が伸びたり縮んだりする熱伸縮が顕著に起こります。
縮むことでパイプが継手から抜け、伸びることで継手が押されてひび割れます。
夏場や冬場に漏水が多くなる原因は、古くなって強度が落ちたビニル管継手が伸縮に耐え切れず破損してしまうという原理です。
曲がり継手(エルボ)なら針金を入れれば突き当たるので、何メートル先にあるか直ぐに分かりますが、継ぎ足し(ソケット)や分岐継手(チーズ)ですと針金がすり抜けてしまうので簡単には分かりません。
その場合は針金の先端を少し曲げてパイプの中に挿入し、ソケットの段差を探します。
僅かな引っ掛かりを探すことになるので、延長が長くなるほど判り難くなります。
すると、0.5mで一つ、1.7mで一つ、定尺の4mで一つ、その次も4mで一つ使われているようです。
曲がりがあった部分の通りを目安に、先ずは10.2m先のソケットを探し出す事にしました。
無駄に舗装を傷つけたくないので少しえぐりました。
ここのソケットも破損してない様子です。
古い継手はこの先いつ割れて水漏れしだしても不思議ではないため、せっかく掘り出して見つけれたので、ついでに更新させておきました。
他社さんですと漏れてなかった場合には触ると面倒なので、そのまま埋め戻してしまうのが通常です。
ここから先はアスファルト舗装がされています。
闇雲にアスファルトを傷つけても費用がかさむだけなので、先にメーター器まわりを掘り出してみることにしました。
こちらもどこまで伸びているかワイヤーを挿入して計測を行い、前述の28mの配管と交わる部分を探り出しました。
ちなみにメーター器まわりの配管でも漏水音は聞こえてきませんでした。
これまでの調査の結果、このアスファルトの下の何処かで水漏れしているところまでは絞れました。
ビニルパイプは定尺が4mなので、先のソケットから4m毎を測り出していきました。
ただ、当時の施工者が必ずしも定尺4mのパイプを使ったという確証はどこにもなく、あくまで推測です。
4m毎にアスファルトにドリルで小さな穴を開け、音調してみました。
すると中間辺りで微かな漏水音を捉えました。
土も濡れているような形跡が見られます。
ただし、上流から掘り穴の配管周りを伝ってきている可能性も十分にあります。
幹線道路に付いたお宅なので車の往来が激しく、いまいち漏水音に確信が持てません。
少しでも確率を上げたいので、お家の方に許可をいただき車通りの少なくなった真夜中の0時過ぎに音調させてもらいました。
真夜中の漏水音調査にて7〜8割方の確信を得て、意を決して怪しそうな場所を掘り出してみました。
見当をつけた箇所で見事にソケットが見つかりましたが、実際には想定していなかった枝管の分岐でひび割れていました。
かなり強引な配管がされてありましたので、ひび割れたのも当然の結果だと思われます。
しかも継手の真横に大きめな石も埋められていますから給水管布設における技術意識も薄いです。
結局のところ、この枝はどこへ行っているのか不明です。
推測ではありますが先端キャップ止めになっているのではないかと…。
ただ、廃止してしまって出なくなるところが出てくると、それはそれで厄介なので現状復旧させました。
全て引き直しを行う場合、こうのような想定していない枝を見逃すリスクがあるので注意が必要です。
元が我儘配管なので、継手に負荷を与えないように修正しながらの角度合わせは腕の見せ所です。
修理後はメーター器もピタリと止まってくれました。
今回手を付けていない残っている継手が将来的に割れないとも言い切れませんので、ソケットとエルボがあると思われる箇所に青ピンを打って目印にしておきました。
こうしておけば水道管が何処に埋設されているかの目安にもなりますので、知らない人が見ても判断材料となります。
バルブも2箇所追加しましたので、次回また漏水が発生したとしても切り分けが出来て、早く見つけることができるのではないかと考えます。
最後に、、、
電話口で漏水箇所不明の修理金額について「大体どのくらいの費用がかかりますか?」と尋ねられる事が多いのですが、簡単に見つけれる時もありますし、逆に今回のように探すことに労することもございますので、一概にお答えできない事をご理解いただけましたなら幸いです。
Oオーナー様
N不動産 代表様
A様
この度はご依頼いただきまして、誠に有難うございました。