今回の依頼は井戸の引き抜き工事です。
借りていた土地に井戸を掘って使用されていたようですが、地権者に返還するにあたって井戸を引き抜きたいとのご相談でした。
電話口での説明では打ち込み井戸とのご説明でしたが、現地にて調査をするとビニル管が埋まっていて、恐らくロータリー掘削機で鑿掘した井戸ではないかと判断しました。
当時の施工記録は全く残っていないとのことでしたから、差し当たって井戸の深さを確認してみることにしました。
ところが井戸の深さを図ろうにも、整地した時に井戸管内に土砂を入れてしまったようで埋まってしまっていました。
何とか9m辺りまでは掃除することができましたが、小石が混入してしまっていたため完全に底まで取りきることができませんでした。
ビニル管ですと引き抜きの際に簡単に割れてしまう事が考えられます。
そもそもが締め固められていて抜けない可能性もあり、今回は依頼主や地権者に駄目で元々である事を事前にご了承してもらっての着手とさせていただきました。
正直なところ、私もビニル管井戸はこれまでに抜いたことがありませんでしたので初の試みとなります。
ビニル管が割れないように時間をかけて打撃調整を行い、少しづつではありましたが、抜けてくる兆候がみられました。
その後も慎重に作業をして途中まで順調に抜けてきていたのですが、一定の長さまで抜けた辺りで完全に止まってしまいました。
ストレーナ―に巻かれている透水シートが固い地層に引っ掛かって抵抗になっているのではと推察しました。
ビニルパイプが割れない程度の力加減でウィンチを引っ張りつつ、慎重に後退打撃を継続していたのですが突然スルッと抜き上がり軽くなってしまいました。
どうやらパイプ同士を接続していた継手が割れてしまったようです。
残念ながら残りの井戸管は地中においてきてしまって回収不能となってしまいました。
途中までの5mは引き抜けて透水シートらしいものが巻かれていた形跡がありましたので、地中に残っているのは定尺の4mかなと予想します。
せめて、継手に排水用の継手ではなく給水用の肉厚の継手を使用してくれていたなら引き千切れずに抜けてくれていたかもしれません。
鋼管井戸を打ち込むときも当店ではネジ接合を行わずに溶接接合に拘る理由がここにあります。
ネジ接合をしますと新しいうちは何ら問題ないのですが、40年50年経過後の抜き上げたくなったときに管肉厚が薄くなっているネジ部は当然腐食していますから、引き抜きの時に千切れてしまい同じように地中に置き去りにしてきてしまいます。
身内に原因不明の良くないことなどが立て続けに起こると、放置して使っていない井戸や不浄にしてしまっている古い井戸が敷地内に無いか?と、其の筋に通じている人から真っ先に指摘を受けてしまいます。
理由付けするには持って来いですから、藁をもすがりたい側からしたら言われた事でずっと気になってしまいますよね。
当店では抜きたくなった時のことまで考えた施工を努めておりますので、打ち込み井戸工事のご用命でしたら当店にお任せください。
過去に打ち込み鉄管を引き抜いたときの動画になります。
M様
この度はご依頼いただき誠に有難うございました。