今回の依頼は井戸調査です。
今は使っていない古い井戸設備を再利用したいので使えるか見てもらいたいとのことでした。
井戸ポンプもありましたが、電灯が撤去されていましたので発電機を持ち込んで汲んでみることにしました。
シャフトロックも無く、ポンプ逆止弁も悪くない状態でしたので、運転してみると毎分5L程しか揚水できませんでした。
打ち込み鉄管の深度を測ると5mで、地下水位は地表面から1.9mにありました。
口径は32Aと言う細い打ち込み管でした。
細い口径の方が打ち込み作業時には摩擦抵抗が少ないので太い管より楽に打てることから、昭和の時代には32Aの口径の打ち込み鉄管が多用されたようです。
デメリットは管が細いので汲み上げ出来る水量が少なめな事と、経年で錆びにより閉塞しやすいことです。
打ち込み井戸は長く使用していないとストレーナーが錆で閉塞してしまいます。
エンジンポンプと手押しポンプでストレーナーに詰まっている錆を落とせることがあるので試してみましたが、結果は変わることがありませんでした。
打ち込み鉄管を回してあげることで錆が取れることもありますが、腐食が激しい井戸では完全に壊してしまうことになるので辞めておきました。
打ち込み井戸にも寿命があり、一般的に水道本管と同じで40~50年と言ったところです。
調査の結果、この水量では実用には難しいことをお伝えさせていただきました。
ハウスメーカーの営業担当からは、チューブ潅水の水量が毎分5Lあれば良いので大丈夫と説明があったようですが、それはカタログ上の規格値であって経験則から見て余剰は必要だと考えます。
新たに井戸を掘るお見積りを提出させて頂き、一旦保留となります。
口径:32A 深度:GL-5.0m 静水位:GL-2.0m
水量:極少(推定5ℓ/min) 鉄分:2ppm 砂量:無し
砂色:不明 水色:不明 水温:17.0℃ 海抜:10m
M様
この度はご依頼頂き、誠に有難う御座いました。